猫が逝きました。とても可愛い猫でした。
私事で恐縮ですが、今日私の猫が逝きました。
朝の7時くらいだったかと思いますが、正直記憶は曖昧です。
あの子がうちに来てくれたのは2010年5月でした。
登場の私は20歳で前年に19年間飼っていた猫が亡くなっており、約1年ぶりに猫を迎えることに罪悪感と喜びがあったことをよく覚えています。
1匹目の猫はセーラーという名前で、あの子が死んでしまった時私は何日も泣き暮らしました。それを知っていた親は今度は2匹飼っていいと言い、知り合いの猫を沢山飼っていらっしゃったお家から子猫を2匹譲り受けることになりました。
もうどこだったか覚えていませんが、たしかお店の駐車場でダンボールに入った10匹程の中から私は真っ黒とキジ白の猫を選び、うちの子にお迎えしました。
両方雌だよと言われていたのですが、「黒猫の名前はやっぱりジジだよね」などと安直に決め、キジ白の子は姫と名付けました。手の平になる程小さな体がみぃみぃ鳴きながら動き回っている姿の可愛いこと。
家で飼っていることに変わりありませんが、なんとなく黒猫は両親の猫。キジ白の姫は私の猫という扱いになるのに時間はかかりませんでした。(余談ですが大きくなったら両方雄だと判明しみんなで笑いました)
姫とはこの10年間、ほとんど毎日一緒に眠っていました。甘えん坊で食いしん坊で、自己主張の激しいところがあったような気がします。
でも本当に優しい子でした。翌年野良猫を拾い我が家にお迎えしましたが、まだ子猫のような小さな猫の体を何度も舐め、乳首を吸われてもちっとも怒りませんでした。野良猫だった子は1月の寒い時期に迎えたので小春と名付けました。
今思うと、この3匹がいてくれた時がうちが1番賑やかだった時です。
でも、猫たちは可愛くていい子だったけれど私はいい飼い主ではありませんでした。
なるべく室内飼いを心掛けていましたが、小春は元々外で生活していたこともあり度々外に出てしまっていました。
1匹目の子が何もしなくても長生きだったから、私は動物はあまり手をかけなくても元気でいるものだと思っていたんです。本当に馬鹿で無責任です。小春は白血病になってしまい、その後たった4年で命を失いました。動物病院に連れて行くときのガリガリに痩せた体と、それでも行きたくないと毎回悲しそうになく声。床に力なく寝そべり、怠そうに私を見上げてくる目。あんなにふわふわで、小さくて、可愛かった子が、本当に骨と皮だけになっていくのに私は泣きながら病院に連れていくことしか出来ませんでした。
飼い始めたときにそれぞれ病院に連れて行き、先生にこの予防注射打つからねと言われて私は何も分からず先生が言ってるからそれでいいんだと話をよく聞いていませんでした。もしかしたら先生も特に説明などはしていないかもしれませんが、それを調べるのが飼い主です。
小春は予防できる病気にかかり、失わなくてよかった命を失いました。
そしてこの時、姫も同じく白血病のキャリアになりました。
先生からこの子もあと5年ほどで亡くなる可能性が高いと言われて、私は怖くて毎晩姫の耳を見ました。
死んだ小春の耳が、血が通っていないように真っ白だったからです。姫の耳にすうっと通った細い血管を見つけられると、私はまだ大丈夫、姫はまだ大丈夫と自分に言い聞かせることが出来たんです。
小春が亡くなって3年ほど経ってから、姫の行動がみるみるおかしくなっていきました。
名前を読んでもこちらを見ない、凄まじい声で鳴く、それまで登れていた階段が上がれなくなる。
ついに発症してしまった。
私はまた泣きながら姫を病院に連れて行きましたが、先生の診断の結果は異常なしでした。レントゲン、血液検査に問題はない。ただどうやら耳が聞こえていないようだけど、原因はわからない。
これは言い訳ですが、私は田舎に住んでおり病院の選択肢があまりなかった方だと思います。ただ、こちらはテレビで何度か紹介されたことがある地元では(おそらく)名無しれた病院で、私はまた先生がそういうなら大丈夫だろうと胸を撫で下ろして帰りました。耳が聞こえなくても日常生活に問題はない。たしかに、鳴き声がけたたましくなったことを除けば元気だ。
私はそのまま、姫と2年程を過ごしました。
明らかに姫の様子がおかしくなったのは今年に入った頃です。
姫は夜中にいきなり痙攣を起こしました。
小さな体をのたうちまわらせ、失禁しながら身体中をぶつけている姿を見て、私は怖くてどうにか毛布で体を包んで痙攣が治るのを待ちました。
朝になったら病院に連れて行き夜に起こったことを先生に話したつもりですが、その頃には姫は普段通りになっていたし、私も動転していて多分上手な説明は出来ず、とりあえず家に帰って様子を見ることになりました。
家に帰った姫は、なんで連れていかれたのかわからないみたいな顔で私を見ます。その顔を見ていると私もあれ?大丈夫なのかな?なんて思ってしまいました。そんなわけないのに。
程なくして姫はまた発作を起こしました。
私が抱き上げるのが遅かったから、フローリングで引っ掛けたのか爪が剥がれて血が出ていました。
私はまた泣きながら姫を病院に連れて行き、録画していた発作の様子を先生に見せました。
血液検査、エコー、レントゲンには問題なくこの発作の様子だとおそらく脳に原因があると思う。でもここではctがないからそれ以上の診断はできない。これ以上詳しく見る場合は、もっと大きな病院で麻酔をかけながらの検査になります。
先生はちゃんとそう言いました。
大きな病院は私の家から車で1時間かかります。私は自分の猫が麻酔に耐えられれのか、長時間の移動に耐えられるのかわからず、とりあえずと思い紹介状を断りてんかん発作を予防する薬を1ヶ月分もらい帰宅しました。
そして、今日姫は死んでしまいました。
私が殺したようなものです。
明け方の4時にまた発作を起こし、でも今度は発作が30分経っても止まらず、瞳孔を開いたまま体が硬直していました。
かかりつけの病院は一応夜間の電話をかけても良いことになっていたためかけましたが、電話は通じません。(通じなかった場合は折り返しとHPにきちんと記載してありました)
どうしたら良いのかわからずインターネットで夜間対応していただける病院を探して1時間かけて向かいました。
1時間です。
私が紹介されてたのを断った病院のすぐそばです。
病院に着いた時、姫の心臓と呼吸は止まっていました。先生が急いで挿管し、薬を打ち、心臓マッサージをしてくれて本当に少しの間自発呼吸が戻りましたが、2度目に心肺停止になった時先生が険しい顔でもう難しいですとおっしゃいました。
姫の体は失禁で濡れ、目は半分開いたまま閉じず、激しい痙攣で歯が抜けてしまい血塗れでした。
1時間。
私が1時間の移動時間を渋り検査を怠り、それ以上あの子の体がどうなっていたのか調べるのを怠ったから姫はあんなに苦しんで死んでしまいました。
緊急対応してくださった先生が、いつもこうなのか?発作が起こったときに使う薬は処方されていないのか?と私に聞かれましたが、私は姫が飲んでいた錠剤の名前もわかりませんでした。発作が起こった後に使う薬があることも知りませんでした。
姫はもらってきた時から体が小さく繊細で、この子はうちに貰われて良かったね。いっぱいの中にいたら、きっと早くに死んじゃってたかもよと昔親が冗談で言ったことがあります。
でも違いました。
うちにいても、姫はたった10歳で命を落としました。私がもっと先生の話をよく聞いたり、違う病院に行っていればあの子は今も私の横にいたんだと思います。
でも私が駄目だったから、私の猫は今日死んでしまいました。
ポップコーンみたいな匂いがする肉球も、よだれくさい口元も、なんだかよくわからないけどいい匂いがする首の匂いも、もう嗅げません。
あったかくてふわふわだった体は冷たくなって、もう2度と動きません。
しかも私、あの子の耳が聞こえない期間が長かったから、病室で一度も姫って呼んでない。
先生がダンボールに入れてくれたあの子の亡骸を見て、私ははじめて姫って呼んだ。もう絶対に聞こえないのに。
本当に支離滅裂な文章だと思います。読み返してないので、ごめんなさい。
ちょうど12時間ほど前、私の猫が逝きました。
あったかくて可愛いくてふわふわで、いつまでも赤ちゃんみたいに甘えん坊でわがままな私の猫が逝きました。
もしこれを誰かが読んで、その人がペットを飼っていたら、今日はいつもより優しく名前を呼んで抱っこしてあげてください。
私にはもう出来ないから、いっぱいいっぱいしてあげてください。
それともしも、私のようにペットの健康状態に鈍い方がいらっしゃったら、どうか一度その子の様子をよく観察して、健康診断に連れて行ってあげてください。
お願いします。
私みたいなやつにならないでください。